2011年11月14日月曜日

TPP、日・米政府発表に大きな食い違い

三橋貴明オフィシャルブログより


2011-11-14 07:15:05

主権国家



 人気ブログランキングで未だに「総合首位」を維持しております。ありがとうございます。人気ブログランキングのポイントも、昨晩は31万5千を突破しました。
 今朝は5時45分からTBSラジオの生島さんの番組に電話出演したので、眠くてたまりません。
 本日21時からテレビ朝日「ビートたけしのTVタックルhttp://www.tv-asahi.co.jp/tvtackle/ 」に出演します。テーマはもちろんTPP。



そのTPPですが、APECでTPP参加予定九カ国による合意がなされました。(無論、日本は入っていません)

『日本経済新聞 2011年11月13日「「TPP、日本参加で交渉遅れ許されぬ」マレーシア首相」 太平洋連携協定(TPP)拡大交渉の参加国、マレーシアのナジブ首相は12日、将来の日本の交渉参加について「原則的に賛成だが、交渉を遅らせることは許されない」と述べた。アジア太平洋経済協力会議(APEC)が開かれた米ハワイのホノルルで、共同通信などの会見に応じた。
 交渉に参加するには現在拡大交渉中の9カ国の同意が必要。ナジブ首相は「すでに合意された事項について再交渉はありえない」として、これまでの交渉で9カ国が合意した通商ルールを受け入れることが日本参加の前提だと強調した。
 また、ナジブ首相は、同日開催の首脳会合で9カ国が「来年7月の交渉妥結が望ましいとの認識で大筋一致した」と明らかにした。
 一方、「残された作業は多い」と発言。「(来年は)参加国の一部が選挙を控えており、保護分野について繊細な扱いを要する」として、市場アクセスなどで難航する交渉の行方が不透明であることを示唆した。』

 さて、細かい話に入る前に、先ずはUSTRに掲載された今回の合意内容をどうぞ(英文だけど)。


 う~む、凄い。。。(以下の訳はGoogle&三橋訳なので、間違っていたらご指摘ください)

『• Services and investment packages will cover all service sectors. To ensure the high-standard outcome the nine countries are seeking, the TPP countries are negotiating on a “negative list” basis,but allows countries to negotiate specific exceptions to commitments in specific service sectors.』

サービスと投資のパッケージは、「全サービス分野」をカバーする。九か国が求めている高標準な結果を確保するため、TPPの国々は、ネガティブリスト方式がベースの交渉を行っている。ネガティブリストとは、特定のサービス分野におけるコミットメントに際し、特定の例外を認める交渉方式である。(※「特定の例外」以外は全て自由化。ついでに、新規分野は常に完全自由化)』

 上記サービスの分野には、当然ながら「放送」や「新聞」が含まれるというわけでございますな。無論、マスコミ以外にも建設、簡保、共済、運送、不動産、会計、法務、特許、コンサルティング、医療、流通、小売、電気通信、電子商取引などなど、日本の特に中小企業が担っている内需向けサービスはネガティブリストに掲載したもの以外は「全面自由化」「ルール撤廃」そしてそのための「法律改正」になります。

『・ Investment. The investment text will provide substantive legal protections for investors and investments of each TPP country in the other TPP countries, including ongoing negotiations on provisions to ensure non-discrimination, a minimum standard of treatment, rules on expropriation, and prohibitions on specified performance requirements that distort trade and investment. The investment text will include provisions for expeditious, fair, and transparent investor-State dispute settlement subject to appropriate safeguards, with discussions continuing on scope and coverage. The investment text will protect the rights of the TPP countries to regulate in the public interest. 』

『投資について。投資のテキストは、他のTPPの国の投資家や、各TPPの国の投資のための実質的な法的保護を提供する。それは、交渉中の被差別を保証する条項、処理に際する最低基準、収容に関するルール、そして貿易及び投資を歪める特別なパフォーマンス要求の禁止を含む。
 投資のテキストは、範囲とカバレッジについて議論が続いている、公正かつ適切な安全対策のための透過的な「投資家-国家間」の紛争解決(ISD)の迅速さに関する規定を含む。
 投資のテキストは、公共利益の分野における規制のためのTPP加盟国の権利を保護する。』

 最後の一文については「本当かいな」という感じでございますが、まあ、ISDを入れるときには必ずこの種の建前が入ってくるのでしょう。(さもなければ、アメリカとISDが含まれた貿易協定を結ぶ国はなくなります)

いずれにせよ、現行、すでに「合意された」TPPの通商ルールの中に、きちんとネガティブリストやISDが入ってきているわけです。(これ以外にも、沢山問題はあります) さあ、「日本の政治力」とやらで、この九カ国が合意したルールを変えて見てください。てなもんでございますよ。

と言うよりも、そもそも冒頭の記事にもありますように、各国の首脳に、
「将来の日本の交渉参加について原則的に賛成だが、交渉を遅らせることは許されない」
「すでに合意された事項について再交渉はありえない」
と釘を刺されているわけです。

そして、日本がTPPの交渉に参加するためには、現在拡大交渉中の9カ国の同意が必要になります。日本が交渉に参加できるのは、早くて来年の五月になるでしょう。そして、交渉中の9カ国は、
「来年7月の交渉妥結が望ましいとの認識で大筋一致した」
分けでございます。

来年の五月にノコノコと交渉に参加し、二ヶ月間で上記のような問題のある条項を「すでに合意された事項について再交渉はありえない」と言われている環境でひっ繰り返す。これを「日本の政治力で実現する」などと真剣に思っていたとしたら、誇大妄想狂以外の何者でもございませんな。

 TPPに関する報道、情報が大混乱しています。

米が発表の野田首相発言、日本政府は否定http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20111113-OYT1T00394.htm
 12日の日米首脳会談について、米ホワイトハウスが文書で発表した概要によると、野田首相は環太平洋経済連携協定(TPP)交渉について、すべての物品やサービスが対象となる考えを示した
 米側の発表によると、会談で首相は「TPP交渉への参加を視野に、各国との交渉を始めることを決めた」とオバマ大統領に伝えた。大統領は「両国の貿易障壁を除去することは、日米の関係を深める歴史的な機会になる」と歓迎する意向を明らかにした。
 その上で、大統領は「すべてのTPP参加国は、協定の高い水準を満たす準備をする必要がある」と広い分野での貿易自由化を日本に求めた。首相は「貿易自由化交渉のテーブルにはすべての物品、サービスを載せる」と応じた。
 大統領は首相に、日本のTPP交渉参加に向け、米議会との交渉開始をカーク通商代表に指示すると明言した。同時に、米国内の農業、サービス業、製造業の関係団体との交渉を始める方針も示した。
 これに関連し、日本政府は12日、「今回の日米首脳会談で、野田首相が『すべての物品およびサービスを貿易自由化交渉のテーブルに載せる』という発言を行ったという事実はない」とのコメントを発表した。
 日本側が米側に説明を求めたところ、「日本側がこれまで表明した基本方針や対外説明を踏まえ、米側で解釈したものであり、発言は行われなかった」と確認されたとしている。』

 事実は分かりませんが、そもそもTPP交渉参加への意志を表示したということは、「すべての物品やサービスが対象となる」わけでございますよ。TPPとは、そういう類の貿易協定なのです。

これでは野田首相は帰国したら、国会でボコボコにされますな。

 堅い話ばかりでしたので、少しニヤリとする話題を。(情報提供:TN様)

独演会状態でTPP反対論をぶった中野剛志センセイはテレビ界から消されないのか!?http://www.tokyo-sports.co.jp/writer.php?itemid=16495
 これは反響が大きいだろうと思っていたら、やはりである。
 10月27の「とくダネ!」でTPPのマイナス点を並べてぶった切った中野剛志・京大准教授の剣幕はすさまじかった。半ば独演会といった調子でまくしたて、他の出演者を凍りつかせた。時間にして2~3分か。フジテレビも“よくぞ映し続けた”と言えるが、ディレクターもカメラマンもボウ然としていたのかもしれない。
 筆者も仕事を止めて画面に見入ってしまったが、予想通りネット上には放送の動画が投稿され、賛否両論。態度の悪さを指摘する声があれば、「放送事故寸前」「全国放送でTPPの危険を伝えてくれて感激」「みごとなキレ芸」といった意見が寄せられている。
 中野氏は10月21日のNHK「視点・論点」でもTPPについて語り、これまたネット上に動画が流れた。
 TPP反対派にとっては快哉を叫びたくなるような中野准教授のしゃべりっぷりだが、気になるのは今後、テレビ界から“抹殺”されないかだ。(中略)
 TPPの是非はともかく、中野氏がテレビから消されることがあってはならない。』

 すでにしてテレビの流れは反対派圧倒に変わりつつありますので、中野氏がTVから抹殺されるようなことはないと思いますよ。ちなみに、本日放映のTVタックルでも、中野氏の録画映像が合間に流れ、恐ろしいほど説得力ある形でTPP反対論をぶっています(あっちの役回りの方が美味しかったかも・・・)

 先日の西田昌司先生の政経セミナーでの藤井聡教授の講演内容が、「ペギミンのブログ」様に掲載されていました(情報提供:SF様)

【TPPに入ると日本は本当に成長できない国になる(藤井聡教授)】http://ameblo.jp/pegimin/entry-11073381728.html

(抜粋)「・・・でもTPPをやると、本当に成長できない国になってしまいます。本当にTPPを避けないといけません。TPPに入ると、内需拡大のために20兆の公共投資をやっても、その何割かが外国に抜けていくわけです。せっかく今、内需拡大ができる状況にあるのに、TPPに入るということはみすみす日本が成長できる環境を破壊することにもなる。先ほど述べた日本人の責任を果たすことができないような、脆弱な国になっていくということです。せっかく世界を救ってあげられるのに。・・・・」

 今年の一月ごろ、わたくしがTPPの危険性にようやく気がつき、反対する言論活動を始めたときには、そもそも「TPPの危険性」を周知できるのかどうか、不明でした。当時、TN氏は「政官財とマスコミがグルになっており、これをひっくり返せたら奇跡」と言っていましたが、以前の日本では、ここまで(TPPの危険性を国民に周知する)来る事さえできなかったでしょう。

インターネットや口コミなどで、TPPの危険性が広まり、政治家が次々に反対派にひっくり返っていく。こんな光景を目にすることなど、想像もしていませんでした。
恐らく、最も効果的だったのは、国民一人ひとりが「地元の政治家」にコンタクトを取り、TPPの危険性を訴えたことなのではないかと思います。政治家にとって、地元の有権者からの声ほど影響を受けるものはありません。

今後の日本の政治は、TPP交渉参加をめぐって大混乱するでしょう。一部の新聞は寝返りつつありますが、多くの大手紙は、最後までTPP推進を貫き、国民に必要な情報を提供することを拒否すると思われます。

ならば、わたくしたちは新聞とは無関係なメディアを用いて情報交換を行い、政治家に直接的に訴えかければいいのです

未だ日本はTPPに加盟はもちろん、交渉にも参加していない状況です。現時点の日本は、国民が意志を示し、主権者として政治家を動かし、国家の行く末を決定することができる主権国家のままなのです。今のところ。


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TPP、日・米政府発表に大きな食い違い

【ホノルル=中島健太郎】12日の日米首脳会談について、米ホワイトハウスが文書で発表した概要によると、野田首相は環太平洋経済連携協定(TPP)交渉について、すべての物品やサービスが対象となる考えを示した。

米側の発表によると、会談で首相は「TPP交渉への参加を視野に、各国との交渉を始めることを決めた」とオバマ大統領に伝えた。大統領は「両国の貿易障壁を除去することは、日米の関係を深める歴史的な機会になる」と歓迎する意向を明らかにした。
その上で、大統領は「すべてのTPP参加国は、協定の高い水準を満たす準備をする必要がある」と広い分野での貿易自由化を日本に求めた。首相は「貿易自由化交渉のテーブルにはすべての物品、サービスを載せる」と応じた。
大統領は首相に、日本のTPP交渉参加に向け、米議会との交渉開始をカーク通商代表に指示すると明言した。同時に、米国内の農業、サービス業、製造業の関係団体との交渉を始める方針も示した。
これに関連し、日本政府は12日、「今回の日米首脳会談で、野田首相が『すべての物品およびサービスを貿易自由化交渉のテーブルに載せる』という発言を行ったという事実はない」とのコメントを発表した。
日本側が米側に説明を求めたところ、「日本側がこれまで表明した基本方針や対外説明を踏まえ、米側で解釈したものであり、発言は行われなかった」と確認されたとしている。
(2011年11月13日17時38分  読売新聞)

※言ってもいないことを勝手に解釈されてしまうなら、交渉なんてできるわけない。
今回の件できちんとアメリカ側に訂正記事を書かせたのか?
訂正記事を書かせることができないのなら、交渉能力がないのでTPPに参加する能力もない。

アメリカの誰が解釈し、どこで発表したのか?
アメリカ政府が解釈し、新聞が報道したのか?
アメリカの新聞が勝手に解釈したのか?たぶん、新聞社が勝手にやったということにするのだろう。


訂正させないということは、解釈はあっているので訂正しなくていいということになり、認めたことになってしまう。





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