2011年9月27日火曜日

「恥さらし 北海道警 悪徳刑事の告白」

恥さらし 北海道警 悪徳刑事の告白」講談社より10/6出版


引用
1.フォーラム市民の目:「 あの稲葉元警部が懺悔録を出版」2011年9月26日 

2. 函館発「団塊オヤジの独り言」:「恥さらし」という本 2011年9月27日

3. 阿修羅:「覚せい剤警部をお縄にした“売人”が、もう1つの爆弾を抱えたまま拘置所で自殺 」2002年8月31日

4. 毎日新聞2002年7月12日北海道夕刊から
「北海道警警部、覚せい剤打ち会議出席 逮捕当日、車で出勤--懲戒免に 」


5..毎日新聞2002年8月1日北海道朝刊から
元部下が覚せい剤使用容疑で逮捕 警視が首つり自殺--北海道警  


 6.北海道新聞2002年8月29日
道警警部の覚せい剤を供述 男性被告が自殺 札幌拘置支所  2002/08/29 15:00
 

 7.北海道警察の冷たい夏 稲葉事件の深層」曽我部司



 1.フォーラム市民の目:「 あの稲葉元警部が懺悔録を出版」
フォーラム市民の目より
2011(平成23). 9.26(月) あの稲葉元警部が懺悔録を出版
驚愕の違法捜査、その真相を明かす

今から9年前の夏、平成14年7月に北海道警察(以下、道警という)の現職警部が、道警薬物対策課に覚醒剤使用の疑いで逮捕された。
道警始まって以来とも言われた幹部警察官の前代未聞の不祥事は、道警に深刻なダメージを与えた。
そして、マスコミの多くは、彼を希代の悪徳警察官として大々的に報道した。
その元道警銃器対策課警部の稲葉圭昭氏が、在職中の懺悔録ともいうべき「恥さらし 北海道警 悪徳刑事の告白」を講談社から出版する。

稲葉氏は、平成4年から始まった警察庁主導の拳銃摘発キャンペーン「平成の刀狩り」で道警銃器対策課のエース刑事として活躍、その功績が買われて警部に昇任し、道警本部長からは「銃器捜査技能指導官」に指定されていた。
彼は、覚せい剤使用・密売目的所持、拳銃の不法所持という罪の全てを認め、懲役9年の判決を受けて服役した。
その裁判で彼は、銃器対策課による大量の覚せい剤や大麻の密輸の見逃しなど、同課の数々の組織的な違法捜査を告発するが、判決は道警の組織的問題には一切触れず、道警は全てを事実無根と黙殺した。

9年間の刑期が終わった今でも、彼は償いが終わったとは思っていない。
罪を懺悔しつつ、警察の拳銃摘発や暴力団捜査等の実態を赤裸々に述べている。
そこには、警察の異常なノルマ主義、幹部による裏金づくり、警察と暴力団との黒い関係等、知られざる警察の驚くべき真相とそれに次第に飲み込まれていく現場の警察官の姿がある。
「市民の目フォーラム北海道」代表原田宏二(元道警釧路方面本部長)は、「平成の刀狩り」が始まった平成4年当時の道警防犯部長で彼の上司だったが、平成16年2月、道警の裏金疑惑を告発、その動機の1つが稲葉問題に対する道警上層部の無責任な対応に対する憤りだったと説明している。
原田は、同書の巻末で、稲葉問題の背景を詳しく解説しているが、同書の帯にその要約がある。
北海道警察は、稲葉だけを"悪徳刑事"仕立てることで組織を防衛した。
しかし、当時の道警幹部のうち何人が、稲葉を非難できるというのか。
彼らは、稲葉が挙げてくる拳銃摘発の実績を失うのが怖かったのか、または道警の組織的ダメージを考えると手が出なかったのか、そのいずれかの理由で稲葉の"暴走"を見て見ぬふりをしてきたのだ。
あれから9年、道警は何も変わってはいない。
今こそ全国の警察は、稲葉の話に耳を傾けるべきではないか。
原田宏二(元北海道警察釧路方面本部長)

 2.ブログ 函館発「団塊オヤジの独り言」: 「恥さらし」という本

より すごい本が、まもなく出版される・・・。

9年前の2002年7月、現役の道警警部が逮捕された。
容疑は、覚せい剤使用、同営利目的所持、けん銃不法所持である。
社会を震撼させた男は、稲葉圭昭(よしあき)氏(以下、敬称略)。

その稲葉が、長い刑期を終えて社会復帰していたが・・・。
沈黙を破り、ついにベールに包まれた事件の背景を書籍として上梓。
10月6日、「恥さらし」というタイトルで講談社から全国一斉に発売。

警察官でありながら、けん銃等を不法に所持・・・。
更には、大量の覚せい剤を所持、そして大口での密売や自己使用。
そしてメディアは、前代未聞の警察不祥事と大々的に取り上げて連日報道。

彼を逮捕に追い込む供述をした男は、札幌拘置所で謎の自殺。
その直前には、監察官の取調べを受けていた稲葉の元上司も・・・。
札幌市内の公園内トイレ内で自殺・・・と驚愕の連続。

事件は、大量の覚せい剤押収等などで目まぐるしい展開を見せたが・・・。
道警の情報操作?が功を奏したのか、詳細は霧の中。
しかしこの事件は、警察裏金問題を見過ごして語る訳にはいくまい。

捜査協力者いわゆるS(エス=スパイ)から、確度の高い情報を獲る・・・。
そのために使うべきはずの捜査費(国費)や捜査用報償費(都道府県費)。
それがいつの間にか、幹部が勝手に費消できる美味しいお金に変貌。

飲み食いはもちろん、署長ら幹部のお小遣いにまでなる不思議さ。
そして、組織から情報提供謝礼を思うように貰えない稲葉は・・・。
Sを繋ぎ止めるために手を出したのが覚せい剤・・・ヤバ過ぎた。

それにしてもヘタな警察ドラマよりも、はるかに中味の濃い本・・・。
おまけに「市民の目フォーラム北海道」の代表も、事件の背景を詳述。
同ホームページの「警察関連NEWS」コーナーでは、こんな広報を展開中。

と言うことで、皆さんも10月6日には、書店へレッツ・ゴー!
税込1冊1,890円、是非、読んで下さいナ・・・。


3. 阿修羅:「覚せい剤警部をお縄にした“売人”が、もう1つの爆弾を抱えたまま拘置所で自殺 」

不可思議な連鎖。闇に葬られた警察暗部の一部始終。

今日(8月29日)の早朝、札幌市東区の札幌拘置所内で、覚せい剤所持の罪で拘留されていた男性が自殺した。その人物の名前は、渡邊司。既に各紙の報道でご存じの方も多いと思われるが、7月10日に逮捕された北海道警察本部の元警部・稲葉圭昭被告を逮捕に追い込む供述をした人物だ。

この事件に関しては、BNNでもあらゆる側面から取材を行い、確証を得た後、近日、その判明した大部分を掲載する予定ではあったが、渡邊被告の自殺という緊急ニュースが飛び込んできたということもあって、まずは、その一部を読者に報告する。

自殺した渡邊被告は、いわゆる覚せい剤の“売人”。過去に営利目的での覚せい剤取締法違反の前科もある。その筋の業界では“ツーサン”の愛称で呼ばれ、名の知れた人物だった。半面、“しま荒らし”的な派手な商売方法で、各暴力団からは煙たがられる存在でもあったという。

しかし、そうした暴力団組織も、渡邊被告を排除することは、なかなかしにくいという背景があった。その背景というのが、稲葉圭昭元警部。過去には“キソウ(機動捜査隊の略)の稲葉”の異名をとり、暴力団関係者に睨みをきかしていた恐持ての警察官が、売人の後ろ盾となっていたのだ。

表向きは警察と情報屋の関係。その裏側には、稲葉元警部と渡邊被告との間に、覚せい剤の売買をはじめとした不法な利益の配分から生まれる金銭的な取引があったというのは間違いないだろう。

ところが、今年の初め、その両者の関係に亀裂が生じた。渡邊被告がある人物から借りたおよそ600万円の借金が引き金となり、渡邊被告と稲葉元警部の人間関係が断絶。

それまで強固な後ろ盾となっていた稲葉元警部の存在が無くなってしまった渡邊被告は、各暴力団関係者から、“的”にされるような危険な状況に陥ってしまった。また、それ以上に、稲葉元警部から、借金返済を求めて脅しをかけられていたともいわれている。

そこで渡邊被告が考えたのが、一番安全な場所への避難。わかりやすくいえば自ら逮捕され、刑務所に入るという最終手段だ。

渡邊被告は7月5日、覚せい剤を所持して札幌北警察署の近くに車を停車。自ら「覚せい剤を所持した人間が乗る車が、北署の近くに止まっている」と通報。自爆を敢行したのだ。

実は渡邊被告は今年の4月にも、同様の手口(その時は傷害事件)で札幌南警察署に駆け込んでいる。しかし、南署がどのような判断を下したのかは分からないのだが、渡邊被告は南署に取り合ってもらえず、自爆は失敗に終わっている。

事情を良く知る人物にいわせると、今回、最終的に北警察署を選んだのは、ここの警察署の小林隆一署長が、稲葉元警部の銃器対策室時代の元上司で、渡邊被告とも知らない仲ではなかったというのが理由だったとのこと。

また、渡邊被告が北警察署に駆け込む前には、数日前から複数の知人に「俺は近いうちに北署に捕まる」と連絡。逮捕後の処遇について相談をしていたとの情報もある。

計画的に行った渡邊被告の自爆。しかしそれはただの自爆ではなく、北海道警察本部に対する“自爆テロ”でもあった。

渡邊被告は北警察署内での調書では何も喋らず、札幌地裁での拘置理由開示の場で、稲葉元警部との関係を自白。「持っていた覚せい剤は稲葉からもらった。彼は覚せい剤の常習者でもあり、金銭の取引もしていた」との爆弾発言に道警本部は大きく揺らいだ。

この証言にもとづき稲葉元警部は尿検査を行い、覚せい剤反応が検出。7月10日、覚せい剤取締法違反で逮捕されるに至ったのだ。

 直ちに稲葉元警部の自宅(札幌市中央区南10西23)は家宅捜査が行われた。ドリルやハンマーを使ってまでの執拗な捜査を行ったのにもかかわらず、証拠となるような物は発見されなかった。

ところがその20日後、7月30日に再捜査を行った際に、いとも簡単に100グラムもの大量の覚せい剤と、ロシア製のPSMという道内では過去に2丁しか押収されたことがないという珍しい拳銃が発見された。

果たして、このタイムラグには、いったいどういう意味が隠されているのだろうか。20日という期間の中で、稲葉元警部の自宅で、何かが行われていたのだろうか。

渡邊被告は拘置所内での調書で、「俺は爆弾を2つ持っている」と供述していたという。その1つは、もちろん稲葉元警部のことだろう。もう1つとは、いったい何だったのだろうか。

渡邊被告をよく知る複数の人物は、いずれも口を揃えてこう話している。「あいつは自殺するようなヤツではない。自殺を考えていたとしたら、まだまだあいつの口から出てくる“ヤバイ”話しはいっぱいあっただけに、それを全部吐いてしまってからというのなら理解できるのだが」

既に周知のことかも知れないが、この事件には、もう1人自殺者が出ている。稲葉元警部の上司で、釧路方面本部の生活安全課長・方川東城夫警視である。

7月31日、自宅近くの札幌市南区の公園内のトイレで首を吊って自殺。その前日から稲葉元警部の監督責任も問われた監察官室で執拗な聴取が行われていた。

この時の監察官室での取調べは刑事企画課が担当。今回の覚せい剤事件以外にも、小樽市で発生したパキスタン人の仲介によるロシア女性売春事件に関しての聴取も行われていたいう。

また、これは8月24日の新聞各紙で報道されており、BNNのBBSでも読者から投稿が寄せられていた事件ではあるが、札幌市内の元暴力団幹部と道警銃器対策課の女性巡査部長、そして24歳の男性が乗る車が、酒気帯び運転で、8月17日に交通事故を起こしている。 

この女性巡査部長は稲葉元警部と深い関係にあったとされる人物で、さらに24歳の男性とは、稲葉元警部の長男。しかも、その長男も元警察官である。

皮肉な事に、この交通事故を担当している署は、渡邊被告が自爆テロを敢行した札幌北警察署だった。

稲葉元警部は現在、懲罰房に入れられており、意味不明の供述を繰り返しているという。覚せい剤の入手先は、元上司で現職の警察官の名前を出している。

http://www.bnn-s.com/bnn/bnnTopics?news_cd=220011024908


 http://mado.chips.jp/power/past/bbs_link/keijiban22.htm より

4. 毎日新聞2002年7月12日北海道夕刊から
「北海道警警部、覚せい剤打ち会議出席 逮捕当日、車で出勤--懲戒免に 」


 覚せい剤取締法違反(使用)容疑で逮捕された、道警生活安全特別捜査隊班長の警部、稲葉圭昭容疑者(48)が、逮捕当日の10日早朝に覚せい剤を使い、隊内の幹部会議に出席していたことが12日、分かった。

 道警は稲葉容疑者を同日付で懲戒免職処分にした。

 調べに対し、稲葉容疑者は「10日早朝、自宅駐車場の車内で覚せい剤を注射した」と供述しているという。当日は通常勤務で、車を運転して出勤し、会議に出席していた。その日の午後に道警本部で検査を受け、使用反応が出た。

 道警はさらに入手経路などを追及する。 






5.毎日新聞2002年8月1日北海道朝刊から
元部下が覚せい剤使用容疑で逮捕 警視が首つり自殺--北海道警


 31日午前11時45分ごろ、札幌市南区川沿10の1の藻南公園のトイレで、道警釧路方面本部生活安全課の方川東城夫課長(56)=警視=が首をつって 死んでいるのを警察官が見つけた。方川課長は、覚せい剤取締法違反容疑などで逮捕された元道警生活安全特捜隊班長(警部)、稲葉圭昭容疑者(48)=懲戒 免職=の元上司。道警監察官室は自殺を図ったとみて動機を調べている。

 調べでは、方川課長はトイレ内の個室で、天井の配水管にビニールひもをかけ、首をつっていた。遺書はなかった。

 方川課長は97年4月~昨年2月、道警銃器対策課の指導官や次席として稲葉容疑者の上司の立場にあった。30日に道警本部で元上司の一人として事情を聴かれ、31日も聴取が予定されていた。だが同日朝、自宅を出たまま姿を見せなかったため、道警が捜していた。

 監察官室によると、30日の聴取は午前9時10分から午後8時まで休憩を挟んで行われた。稲葉容疑者の捜査手法や勤務ぶりなどを聴いたという。

 方川課長は64年4月道警入りし、96年3月警視に昇進。小樽署副署長を経て今年3月から現職。 



 6.北海道新聞2002年8月29日
道警警部の覚せい剤を供述 男性被告が自殺 札幌拘置支所  2002/08/29 15:00


 二十九日午前六時三十五分ごろ、札幌市東区東苗穂二ノ一の札幌拘置支所(野尻国夫支所長)で、覚せい剤取締法違反(所持)の罪で起訴されて拘置中の会社 役員渡辺司被告(40)=札幌市中央区=が自殺しているのが見つかった。渡辺被告は、同法違反(使用)の罪で起訴された道警生活安全特別捜査隊の元警部稲 葉圭昭被告(48)の逮捕のきっかけとなる供述をしたとされる。

 同支所を管理する札幌矯正管区によると、渡辺被告は拘置されていた同支所三階の個室で、自分で使用していた靴下の片方を口の中に詰め、もう片方を首に巻 いている状態で、布団の中であおむけに横たわっているところを刑務官に発見された。既に意識不明の状態で、搬送先の同区内の病院で約一時間後に死亡が確認 された。死因は窒息死。遺書はなかった。

 同支所には現在、二百八十四人が入所。二十四時間体制で、刑務官が十五分おきに見回っている。発見される七分ほど前に別の刑務官が巡回した際には、特に異常はなかったという。

 渡辺被告は七月五日、自ら道警に通報。覚せい剤約○・一二グラムを持っていたため、同法違反(所持)の疑いで札幌北署に逮捕された。渡辺被告が「稲葉 (被告)は覚せい剤を使用している」などと供述したため、道警薬物対策課が同月十日、稲葉被告の尿検査を行い、覚せい剤反応が検出されたため、同法違反 (使用)の疑いで逮捕した。

 渡辺被告は同月二十六日に起訴され、九月十一日に札幌地裁で初公判が開かれる予定だった。

 稲葉被告は、その後の家宅捜索で自宅マンションなどから、覚せい剤約九十三グラムやロシア製拳銃一丁などが押収され、同法違反(所持)や銃刀法違反の容疑で二度にわたって再逮捕されている。

 関係者によると、渡辺被告は数年前から稲葉被告の協力者で、小樽港で中古車の輸出などにかかわっていたという。稲葉被告とは、拳銃の密輸情報を提供するなど密接な関係にあったが、自身が逮捕される直前には、稲葉被告と金銭トラブルを抱えていたとされる。



関係ないかもしれない記事


投稿日:2002年9月8日<日>09時36分

警察職員の絡んだ酒気帯び事故を追っていたら、キナくさい事件にぶちあたりました。
別の警察職員の犯罪をチクった民間人が、靴下を口に突っ込んで自殺を図ったというものです。

北海道新聞2002/08/29 15:00
http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/sch-kiji.php3?&query=2002/08/29&dd=20020829&kiji=0022.200208297980
このなかから一部抜粋します。
┌─────────────────────────────────────
│自分で使用していた靴下の片方を口の中に詰め、もう片方を首に巻いている状態で、
│布団の中であおむけに横たわっているところを刑務官に発見された。
└─────────────────────────────────────
これって他殺を疑ってあたり前の状態じゃないでしょうか?

それに報道によれば、空白時間は7分間。もし自殺だったとしても、
靴下を詰め込み、その後完全に呼吸が止まってからの経過時間は、蘇生の可能性は十分にあったはずだ。気道の確保は靴下を引っ張り出すだけだし、要因がはっきりしているのだから助けるためには人工呼吸が必要であることはシロウトにだって分かるはずだ。
それに自殺の可能性が予想される場所(事件発生は拘置所、その隣は刑務所)なのだから、刑務官に蘇生の知識がないとは思えない。
さらに疑惑が増すのは、この事件の前にはチクられた警察職員の元上司が首吊り自殺をしていることだ。

ちなみに追っていた警察職員の絡んだ酒気帯び事故では、北海道新聞がちぐはぐな報道をしています。

どう思います?
※コメント:被害者、遺族、当時の現場にいた関係者は誰か?






7.「北海道警察の冷たい夏 稲葉事件の深層」曽我部司


7-1
この本で解き明かされるのはこの事件を通して見える、道警の組織ぐるみの隠蔽やひどい体質。さらに道警のみの体質ならず道警、税関職員、暴力団やロシアマフィアまで入り組んだ犯罪体制、秩序が明かされる。 そういった意味では他の警察の汚職、不祥事とは一線を画す組織の暗闇を感じさせる事件。これだけの事件なのにそもそもあまり知っている人がいない、というのが薄ら恐ろしい印象を与える。 結局ここではマスコミも飼いならされているのだ。「にっきみたいなblog」より


7-2 曽我部司氏の著作等にみる泳がせ捜査の真相
市民の目フォーラム北海道bolg版より

稲葉元警部が、覚せい剤の営利目的所持で起訴された約93グラムの入手先を話し始めたのは、平成15年2月24日の第4回の公判である。それは弁護人の質問に答える形で行われている。その証言を要約すると次のようなものであった。

平成12年の4月か5月にけん銃を摘発する目的で、IというS(スパイ~協力者)を使って、覚せい剤に関するおとり捜査を、道本の銃器対策課が実施した。

事件の報告は、当時の稲葉元警部の上司である銃器対策課長、指導官、次席、補佐(警部)に報告していた。このほかにこの捜査を知っていたのは元銃器対策課の上司Nだ。(当時、稲葉元警部は銃器対策課の警部補~係長であった。)
この捜査は銃器対策課が主宰である。
自分が所持していたとされた覚せい剤は、初回に(最初に)密輸入した1部であり、ほかはIが処分(Iは行方不明)したが、(物がどこからきたのか、量はどの位かは)「ばくだいな量です。量は言えません。
その目的等については「最終的な目的はけん銃でした。ですから、方法として、1回目、見逃す、2回目見逃す、3回目(けん銃摘発)に着手するという感じ、そういう方法です」と証言している。

稲葉元警部は、この方法を覚せい剤の摘発を目的とする「泳がせ捜査」と説明し、麻薬特例法に基づくコントロールド・デリバリーとしているようだが、そもそも、この手法は警察等が輸入された覚せい剤等を発見した場合に、その場で直ちに検挙することなく、十分な監視の下にその運搬を継続させ、関連被疑者に到達させてその者らを検挙する捜査方法であり、麻薬特例法第4条により、警察が検事に申請し、関税長が必要と認めたときに行われる。

従って、稲葉証言に「(事件を)見逃す」とあるように、麻薬特例法による「泳がせ捜査」ではないことは明らかである。それどころではない。

稲葉証言が事実だとすれば、銃器対策課の協力者である暴力団関係者Iらと銃器対策課の共謀による覚せい剤密輸(覚せい剤取締法第41条、1年以上の有期懲役)あるいは、不法輸入(麻薬特例法第6条 死刑・無期又は10年以上の懲役)に該当する犯罪である。
当時は1丁でも多くけん銃を挙げろとの警察庁の大号令の下、全国警察でけん銃の摘発競争が展開され、数多くの違法捜査が発覚している。
稲葉証言によると、道警銃器対策課も首なしけん銃の摘発等(けん銃の不法所持者を知りながらけん銃だけを摘発する手法)の違法な捜査でけん銃摘発の実績を上げるために血道を上げていた。

つまり、けん銃摘発のためには「何でもあり」であった。
この「泳がせ捜査」と称する違法捜査もそうした中で行われたと思われる。

稲葉元警部は、さらに平成15年3月17日の論告求刑公判で裁判長に上申書を提出し本人が読み上げた。以下に関係する部分のみを引用する。

営利目的所持の覚せい剤についても入手経路を上申させていただきますが、入手先は香港であり、到着港は石狩新港であります。公判でお話しした様に、最終的な目的をけん銃とした泳がせ捜査の初回の物(ブツ)の一部です。公判では申し上げませんでしたが、この泳がせ捜査は税関と合同で実施した捜査であり、警察と緊密な連携により実行されました。私は着手して間もなく、当時の上司に足かせをはめました。物の受け皿会社を直近上司O(補佐)の頭文字を取り、OK商事としました。これらは全て裏付けが取れます。以上の泳がせ捜査の失敗は結局関係者全員が秘密とすることにより、闇に葬られましたが、皮肉にも私の事件によって露見したことになりました


 この上申書でも、彼は莫大な量の覚せい剤の具体的な量について言及してはいない。また、大麻のことについても何も語っていない。

こうした稲葉証言の真偽が大問題となってくるが、道警や検察は稲葉元警部が証言した覚せい剤の入手先の捜査も銃器対策課の数々のけん銃摘発にまつわる違法行為の追及を行う気配もなかった。
道警としては、組織的な違法捜査が行われ、多量の覚せい剤を流入させてしまったことは絶対に認めるわけにはいかない。

マスコミ各社の報道は、稲葉元警部の女性問題等のスキャンダル報道が目立ち、彼を悪徳警察官にまつり上げ、彼個人の犯罪として終わらせようとする道警の思惑どおりの報道に終始した。

筆者が記憶する限り、マスコミ各社の多くは、彼が公判で証言した銃器対策課の数々のけん銃摘発にまつわる違法捜査や泳がせ捜査失敗証言に注目することもなかった。

こうしたマスコミ各社の姿勢に、道警や函館税関は稲葉証言を黙殺した
泳がせ捜査に関与したとみられる元銃器対策課の幹部や協力者の1人が自殺、暴力団関係者のIは所在不明になっていたほか、当時の銃器対策課の幹部が真相を語るおそれはないなど、この事件がこれ以上明らかになることはないと判断したのだろう。

当時の上原道警本部長も早々と平成15年2月19日、道議会で稲葉証言のような事実は把握されなかったと答弁した。これが道警の公式答弁となった。
平成15年4月21日、懲役9年、罰金160万円の判決が出た。

稲葉元警部は控訴することなく刑に服した。

稲葉事件は、道警の思惑どおり稲葉元警部の個人の犯罪として終わりを告げるかにみえた。

ところが、平成15年9月、札幌のノンフィクション作家曽我部司氏による「稲葉事件の深層北海道警察の冷たい夏」が出版され再び稲葉事件が大きな反響を呼ぶことになった。

マスコミ各社がこの道警のスキャンダルにおそれをなし沈黙を守る中で、曽我部氏は稲葉事件の取材を続け、次々と稲葉事件に関する著作を著す。

月刊現代(平成16年9月号)「北海道警察が闇に葬った大スキャンダル」、
月刊現代(平成18年4月号)「迷走する北海道警『覚醒剤スキャンダル』の核心」、
平成19年2月「警察腐敗と覚醒剤汚染の源流へ」(株式会社エクスナレッジ)である。

曽我部氏は、稲葉元警部の周辺にいたとみられる数多くの暴力団関係者、覚せい剤の密売人や常習者、警察関係者等々の取材を通じて稲葉証言を裏付けている。

さらに「OK商事」という囮捜査のためにでっち上げた会社が実在していたことや石狩湾新港に入港した外国船籍の貨物船の入港記録を徹底的に調査し、その結果を明らかにしている。

曽我部氏は、著書の中で平成16年3月4日に(稲葉証言によれば道警のSで、泳がせ捜査に関与したとされる)暴力団関係者Iがある弁護士事務所に現れ、稲葉証言に合致する話をしたとする情報があったことも明らかにしている。

曽我部氏は、「警察腐敗と覚醒剤汚染の源流へ」でこう書いている。

この事件を曖昧な形にして幕引きを図ったのは、上級幹部警察官や検察官の保身のためなのだ。その曖昧さによって、執行機関は自らの弱みを多くの「悪」に利用されることになる。「悪」に一度弱みを握られたら、徹底的に利用されてしまう。そこに、呆れ返るほどの不作為が生まれる。

筆者(原田宏二)は、平成17年3月、「警察内部告発者」(講談社)の中で、稲葉元警部が平成16年6月、稲葉元警部の親族を介して、事件の真相を筆者に伝えてきたことを書いた。
彼は、その中で家宅捜索で押収された約100グラム(実際には約93グラム)の覚醒剤の出所について説明した。
それが香港から入れた130キロの一部であること、このブツのあとコンテナーいっぱいの大麻2トンも密輸していることなど、上申書では明らかにしなかった事実も明らかにしている。

その後も稲葉元警部は、筆者に他の元上司らが何と言おうとも、130キロと2トンは事実であるとしたうえで、その量は129キロと2トンで現物も見ている。(差し引きの)1キロの中から自分の犯罪事実になった約93グラムが出ていると伝えてきている。
さらに、この泳がせ捜査の事実を知っている幹部等の関係者やその言動、この事件に関わった税関職員、協力者の数、泳がせ捜査の実施時期、密輸の手口、荷受人等についても詳しく説明している。

この問題については、いずれ時期が来れば稲葉元警部が自身の口から明らかにすると思うので、今の時点で明らかにするのは控えるが、曽我部氏のこの問題に関する著作の記述と稲葉元警部の話は大筋で合致しており、密輸入したとされる覚醒剤の量、偽装の方法等細部でもおおむね合致していることだけは明確にしておく。

筆者は、曽我部氏とこの問題について情報を交換したことは一度もなく、曽我部氏の著書の内容を稲葉元警部に知らせたこともない。

となるとこれは単なる偶然なのだろうか。
ちなみに、稲葉元警部は筆者の著書も読んではいない。
筆者は、刑に服している稲葉元警部が、虚言を申し立てる理由もないことや直接問題に関わった当事者しか知らない具体的な暴露もあり、稲葉元警部の証言は真実であると確信している。
確信する最大の理由は、道警が稲葉元警部の所持していたとされる覚せい剤約93グラムの出所に関する追及捜査をしなかった点にある。

稲葉証言を黙殺し、曽我部氏による覚せい剤130キロ密輸疑惑の真相に迫る著作にも沈黙していた道警にとって、平成17年3月、筆者の「警察内部告発者」(講談社)発売とほぼ同時期に、道新が「泳がせ捜査失敗記事」を掲載したことは、一連の裏金疑惑報道によって、道民の信頼を失い大きなダメージを受けていたこともあり、この問題の再燃は致命的だと判断したに違いない。



○原田宏二:平成16年2月、道警の裏金疑惑を告発、その動機の1つが稲葉問題に対する道警上層部の無責任な対応に対する憤りだったと説明している。

○稲葉圭昭(よしあき):2002年7月覚せい剤使用、同営利目的所持、けん銃不法所持で逮捕。

○渡邊司:2002年7月5日、覚せい剤を所持して札幌北警察署の近くに車を停車。自ら「覚せい剤を所持した人間が乗る車が、北署の近くに止まっている」と通報。自爆を敢行。2002年8月29日札幌市東区の札幌拘置所内で自殺。

○方川東城夫:釧路方面本部の生活安全課長。2002年7月31日、自宅近くの札幌市南区の公園内のトイレで首を吊って自殺。その前日から稲葉元警部の監督責任も問われた監察官室で執拗な聴取が行われていた。

○麻薬特例法による泳がせ調査




私のコメント

今までどうして麻薬の使用者や大麻の栽培者が簡単に捕まるのに、輸入元が捕まらないのだろうと疑問に思っていました。

今回の事件で少しわかった気がします。

拳銃を摘発すると褒めれるので、警察が麻薬を餌に暴力団から拳銃を受け取った。

癒着した関係をばらされると自分のクビがあぶなくなるので幹部は黙認をつづけた。

警察も税務署も130キロも覚せい剤を仕入れる先を知っていた。

今回は汚職警察官一人の事件で片付けた。


本当に裁かれるべきは、腐敗した警察、税務署ではないか?

そして、汚職警察官とされた稲葉元警部の証言を無視した裁判官ではないか?

そして、この事件を単なる警察官の汚職事件に仕立て上げることに協力したマスコミではないか?

暴力団と癒着した警察。その警察と癒着した裁判官、マスコミ。


誰か真実を証言する勇気ある人はいないのだろうか?

今がこの腐った世の中を浄化するチャンスではないか。

映画「スミス都へ行く」のように、良識ある人が良心の呵責に耐えきれなくなって告白してくれればいいのだが。




追伸


10/7 紀伊國屋書店 国分寺店で「恥さらし 北海道警 悪徳警官の告白」を購入しました。

「義を見てせざるは勇無きなり」


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